(一社)武蔵村山観光まちづくり協会 事務局長
発足!武蔵村山観光まちづくり協会
2020年4月に発足した(一社)武蔵村山観光まちづくり協会。
それまで武蔵村山市では、観光情報や地域の「売り」を発信するシティセールス活動を行うのは、行政の役割でした。
今回、観光まちづくり協会が発足し、民間事業になったことで、新たな切り口でのプロモーション活動を行うことができるようになったと言います。
「行政を中心としたシティセールスでは、どうしても公平性が求められ、結果として“公平悪”につながっている部分がありました。民間事業体となったことで、新たな視点、新たなネットワークを構築でき、これまで以上に地域の魅力が発信できると考えています」。
そう語るのは、協会の事務局長である国井俊彦さん。
「武蔵村山市」という地域ブランドを確立しようと、日々シティプロモーション事業に取り組んでいます。
国井さんは、2011年まで約8年間、他の自治体の「観光まちづくり協会」事務局長を経験され、「地域振興の推進」に関わっていたという、まさにシティプロモーションのプロフェッショナル!
「既成の概念に捉われることなく、‟観光と地域振興“という両面を、自分のアイディアで具体的にしていくことの面白さがあります」とそのやりがいを語ってくれました。
武蔵村山を「ロケのまち」に
武蔵村山市は狭山丘陵や武蔵野台地などの自然環境に恵まれ、美しいのどかな景観や地域資源が豊富にある上に、都心からのアクセスも良好なスポット。
そんな武蔵村山の「魅力」「売り」を感じた国井さんたちは、プロモーション事業の大きな柱として、「ロケーションサービス」というアイディアを打ち出しました。
ロケーションサービスとは、具体的には、協会がテレビや映画などのロケをしたい制作者側と地域との橋渡し役をする事業。
ロケの依頼を募り、撮影地として協会に登録されている施設やスポットを紹介し、各種の手続きや調整などを代行して、ロケーション支援をする、という仕組みです。
「当地にも歴史や人物、埋もれた財産など魅力が山ほどあります。まずは、武蔵村山の歴史にフォーカスし、ソフトな部分を整備し、ブランディングすることが必要です。そのために『ロケのまち 武蔵村山』をキーワードに地域情報の発信を行っています」。
協会のみんなでアイディアを出し合う
協会がロケの撮影に積極的に協力することで、多くのメリットがあると国井さんは考えています。
「テレビや映画といったメディアの力を利用して、地域の魅力を発信できます。仲介業を行うことで協会の収益にもつながります。制作側にしても、さまざまな不測のリスクを回避し、撮影を進めることができます」。
さらに地元の人々に対する効果もある、と国井さん。
「ロケのまちとしてブランドが確立されることで、市への愛着がわきますよね。ロケ弁や関連グッズの販売など、経済効果もあるはずです。そのためには候補地の提供を求めたり、市民エキストラを募ったり、事業に協力してくれる人脈作りが必須です」。
地域の人々も巻き込みながら、メディア、協会の3者がWin-Winの関係になることを目指しているそう。
ロケーションの様子
スタートしたばかりのロケーションサービスですが、1年半ほどですでに、文化財の羽村山口軽便鉄道跡や市立歴史民俗資料館がテレビの情報番組で紹介されたり、市内のせんべい屋、うどん屋などで撮影が行われたり、赤坂トンネルでのミュージックビデオ撮影なども行われました。
武蔵村山市を「ロケのまち」として活性化していこうという国井さんたちの地道な取り組みは、順調に軌道に乗り始めているようです。
最高の地域資源としての「人」の醸成
国井さんたちが、武蔵村山の地域資源として注目しているもう1つのものは「人」です。
協会では、それぞれの分野や事業で優れた技量をもつ人を「魅力マイスター」として認証、サポーターとして武蔵村山市の良さを発信してもらっているのだそう。
2021年8月20日に行われた「魅力マイスター」認証式
「村山大島紬の伝統工芸師である田代隆久さんや、狭山みかんの生産者である小林農園の小林卓矢さんなど、実際にまち歩きのイベントやワークショップ等で、ガイド役となって活躍してもらっています。また、武蔵村山の暮らしを紹介するポスター『暮らす 武蔵村山』にも出てもらいました」。
「暮らす 武蔵村山」のポスター。市役所などに掲示されている。
単純に市外の人に向けた“観光促進”だけでなく、地元住民による“地域振興”というもう一つの側面。「市外の人はもちろん、地元の人々ももう一度武蔵村山市に関心を持ってもらい、地域愛やシビックプライドを持ってもらいたいのです」。
「心のまちづくり」を目指し、ゆくゆくは市外から人がやってきて定住されるような取り組みをしていきたいと国井さんは言います。
協会発足キックオフイベント、第1回武蔵村山まち歩きの様子
地元の人たちに自分たちの住む地域のことを知ってもらうために、イベント「武蔵村山まち歩き」も開始しました。「この街にこんな魅力があるなんて知らなかった」と参加者に好評だとか。
「結果が出せた時に、関係する方々に喜んで頂けることは、この仕事に関わって最大の醍醐味です」と国井さんは嬉しそうに語ります。
武蔵村山の人々を巻き込みながらの協会の活動は、まだ始まったばかり。協会が今後もどんな面白い仕掛けでプロモーション活動をしていくのか、期待が膨らみます。
地域を愛し、地域のために奔走する国井さんの姿は、手前味噌ながら、私たちたましんの地域レポーターとも重なるところ。私たちも一緒になって、武蔵村山の未来をこれからも応援していきます!
◎レポートbyたましんY
一般社団法人武蔵村山観光まちづくり協会
https://m-murayama-kanko.or.jp